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3.3 燃料噴射系(シミュレーション)

 

a)260mm試験エンジン
出力率の増大にともない、燃料噴射量の大幅な増加が必要となる。
短時間により多くの燃料を噴霧するため、必然的に燃料噴射ポンプの最高噴射圧力は増加する。
シミュレーションの結果、最高噴射圧力は従来の許容噴射圧力約1,300kgf/cm2に対し、1,400〜1,500kgf/cm2に増加することがわかった。
このため、1,500kgf/cm2の最高噴射圧力に耐えられるようプランジャ上部のバレルの変形を抑え、吐出弁付近の燃料漏れを防止する、クローズドバレル型燃料噴射ポンプを採用することとした。(図28)
b)320mm試験エンジン
従来の燃料噴射ポンプにおいて、エンジン回転数を目標出力時の1,030rpmとした場合、燃料噴射ポンプの最高噴射圧は1,500kgf/cm2を超えることがわかった。
このため、燃料カムの耐久性に問題を生じるものと想定され、燃料噴射ポンプの吐出圧力を1,300kgf/cm2以下にする条件について検討を行った。噴口の配置を従来と同様のまま、噴口径のみで対応する場合は、従来のφ0.6mm×9穴をφ0.7mm×9穴程度にする必要があることがわかった。
この場合は、最高噴射圧力を下げることは可能であるが、噴口径が大きくなるため、スモークの悪化が懸念される。
そこで、噴口径を大きくせず、噴口の数を増加させ、噴射圧力を許容値以下とするために、噴口を上下2段(千鳥形状)とした2段噴口型ノズルを製作した。(図29,30)
噴口径がφ0.6?×9穴の場合について検討したところ、燃料カムの最高カム速度を、2.5m/s程度にする必要があることがわかった。
従来の燃料カムをそのまま使用した場合、回転数の増加により最高カム速度は従来の2.2m/sから3.1m/sへと大幅に増加する。
カム速度2.5m/sを満足する燃料カムを製作した。

 

燃料噴射ポンプについては、エンジン回転数の上昇に伴い、バネのジャンピングやプランジャの焼付が懸念された。

 

 

 

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